ホーム » 無名の人の言葉 » 雨の日に肝に銘じたい言葉
雨の日にバイクに乗る人

雨の日に肝に銘じたい言葉

空からのメッセージを聴く

ツーリングの朝、カーテンを開けて雨が降っていると、多くのライダーは落胆のため息をつきます。

濡れる、滑る、視界が悪い。
バイクにとって雨は、楽しみを奪い、リスクだけを増やす招かれざる客のように思えるからです。

しかし、何十年も無事故で走り続けてきたベテランライダーの中には、雨に対して全く異なる捉え方をする人がいます。
彼らは雨が降り出したとき、こう呟きます。

あぁ、調子に乗りすぎていたから、神様が『少し頭を冷やせ』とブレーキをかけてくれたんだな

晴天が続き、路面コンディションが良いと、ライダーは知らず知らずのうちにペースが上がり、運転が荒くなりがちです。
もっと速く走れるもっと倒せるという過信が芽生え始めたそのタイミングで降る雨は、物理的にスピードを落とさせ、熱くなった心をクールダウンさせるための強制的なリセットボタンなのだと考えるのです。

雨を不運と嘆くのではなく、事故を起こす前に自分を諌めてくれた天からのメッセージだと受け取る。
このメンタルの切り替えこそが、雨の日を安全に乗り切るための最初にして最大の極意です。

路面が教えてくれる丁寧さの重要性

雨の日の走行は、晴れの日以上にバイクと対話することを求められます。
濡れたアスファルト、特にマンホールや白線の上は、氷の上のように摩擦係数が低下します。

晴れの日なら誤魔化せていた雑な操作が、雨の日には即座にスリップという形で露呈するのです。
アクセルをガバっと開ければリアが滑り、ブレーキをガツンと握ればフロントがロックする。

だからこそ、雨の日はすべての操作をシルクを扱うように優しく、丁寧に行わなければなりません。

雨の日に上手く走れるライダーは、晴れの日にはもっと上手いと言われるのはこのためです。
雨は、タイヤのグリップの限界や、サスペンションの動き、ブレーキのタッチといった、バイクの繊細な挙動を教えてくれる先生でもあります。

滑るのが怖いと縮こまるのではなく、今日は丁寧なライディングを練習する日だと意識を変えることで、恐怖心は集中力へと変わります。
雨が教えてくれる繊細なコントロール技術は、晴れた日の安全マージンを確実に広げてくれるはずです。

濡れてもいいと開き直る心の余裕

雨の日の事故の多くは、焦りから生まれます。
早く雨雲を抜けたい少しでも濡れずに目的地に着きたいという心理が、オーバースピードやすり抜けを誘発し、判断を誤らせます。

ここで必要となるのが、どうせ濡れるのだから、ゆっくり行こうという開き直りにも似た心の余裕です。

そのためには、精神論だけでなく、物理的な準備も欠かせません。
浸水しない高機能なレインウェアを着る、視界を確保するためにシールドに撥水剤を塗る、手足が冷えないようにレイングローブやブーツカバーを装着する。

不快感を減らす装備を整えることは、運転への集中力を維持するための投資です。
最悪、途中のカフェで雨宿りして、本でも読んで過ごせばいい。

そう思えるスケジュールと心のゆとりを持つこと。
目的地に早く着くことではなく、無事に家に帰り着いて今日はいい勉強になったと笑えることこそが、雨の日のツーリングにおける唯一の勝利条件なのです。